過去のHP記事再現(114)タワーの構造計算(36)断面計算と安全検証(12)タワーユニットの溶接部(2)溶接長とのど厚算定と溶接耐力関連

 前回示しました図面から 
zu5-3.jpg

 溶接長l=40㎜
 のど厚a=2㎜
についての求め方です。

○ のど厚(a)
  のど厚の基礎知識と、溶接サイズとの関係
  http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-nodoatutisiki.html
  を参照してください。
   >のど厚(a)=サイズ(S)×0.70

  とあるように(設計)溶接サイズ(S)からのど厚を求めるのですが、これは直角二等辺三角形の公式から、
  のど厚(a)=サイズ(S)×√2/2=サイズ(S)×0.70
  として求めています。

  つまり、のど厚は、実際の溶接サイズ(S’)のことではありません。
  ここでは、各ユニットのブレースに使用するパイプの太さに応じて、設計サイズ(S)を次のような長さとしています。

  #1ブレース 口径D=21.7㎜×厚さt=2㎜ 鋼管; 設計サイズ(S)=3㎜

  #2ブレース 口径D=32.0㎜×厚さt=2.4㎜ 鋼管;設計サイズ(S)=4.4㎜

  #3ブレース 口径D=42.2㎜×厚さt=2.4㎜ 鋼管;設計サイズ(S)=4.4㎜

  ※ 実際のLusoの規格ではありません。
    分かりやすくするためのここだけの設計値です。※


  これから、各ユニットののど厚を計算しますと

   #1ブレース ;のど厚(a)=3×√2/2=2.8≒2㎜
                (㎜単位以下切り捨て) 
 
  同様に
   #2ブレース ;のど厚(a)=4.4×√2/2≒3㎜
                (㎜単位以下切り捨て)
   #3ブレース ;のど厚(a)=4.4×√2/2≒3㎜
                (㎜単位以下切り捨て)

  となります。

○ 溶接長(l)
  隅肉溶接においての溶接長は、

溶接部の有効面積とは?
  https://mikao-investor.com/2020/03/15/effective_area_of_weld/
  の図を参照してください。
  そこでの説明があるように
  >隅肉溶接では、溶接長さからサイズSの2倍を引いた長さが有効長さとなります。
  >なぜSの2倍を引くかというと、隅肉溶接の両端は細くしぼむからです。
  >のど厚、長さともに有効と付けるのは、構造的に有効で、施工的に安全を見ているということです。

  つまり、

  溶接長(l)=溶接する長さ(L)-(S)×2   
 
  となります。

  ここで、ブレースにおいての溶接長さ(L)について

  Lは、パイプ口径Dとは異なります。また、パイプをその円形状のままで溶接していません。パイプの端は溶接しやすいようにつぶして、直線状となるようにします。それによって、主柱と直角に溶接する場合ですと、円周長÷2でその直線の長さとすることができます。
  ブレースの場合は、主柱に斜めに溶接することになりますから、その角度に応じて、主柱との接する長さが違ってきます。この場合は、三角関数の公式により、ブレースと主柱との角度θには
  sinθ=高さ辺/斜辺 ここで、斜辺が主柱と接する部分となるので、溶接長さL=高さ辺/sinθ ここで高さ辺とは、先の円周長÷2で求められるパイプ円周長の半分です。
また、パイプ円周長は、パイプ口径Dから D×πで求まります。
  ∴ 溶接する長さ(L)=D×π/2

  ∴ 溶接長(l)=D×π/2-(S)×2 

  で求めることができます。

  これから、各ユニットの溶接長(l)を計算しますと
   #1ブレース;溶接長(l)=(21.7×π/2)/sin47°-3×2=40.6≒40㎜
                         (㎜単位以下切り捨て) 
 
  同様に
   #2ブレース;溶接長(l)=(32.0×π/2)/sin54°-4.4×2=53.3≒53㎜
                         (㎜単位以下切り捨て)
   #3ブレース;溶接長(l)=(42.2×π/2)/sin58°-4.4×2=69.4≒69㎜
                         (㎜単位以下切り捨て)


  となります。

○ 溶接部のサイズの決め方

  溶接部の脚長とは?サイズとどう違う?脚長の基礎知識
  http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-yousetukyakutyou.html

  >溶接部のサイズは、母材の板厚からを求める
  >溶接サイズ=板厚×0.7
  >このとき、板厚とは薄いほうの値です(当たり前ですが、板厚が同じであれば、そのままの値です)。
  >また下記の基準などを満足するよう、隅肉溶接のサイズは普通標準図に明記されています(要は、いちいち計算しない。但し構造計算で必要があれば特記する)。
   ・隅肉溶接サイズは薄い方の母材の厚さ以下とする
   ・板厚6mm以上の場合、隅肉溶接サイズは4mm以上かつ1.3√t以上
   ・上記のtとは、厚い方の板厚を示す

  を参考として、今回の各ブレースの(設計)サイズ(S)を決めています。

○ 有効長についての注意

  のど厚の基礎知識と、溶接サイズとの関係
  http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-nodoatutisiki.html

  >ところで隅肉溶接は、点溶接(ごく短い部分を溶接すること)を施工しがちですが、「隅肉溶接の有効長さは隅肉サイズの10倍以上かつ40mm以上にすること」と鋼構造規準に明記されています。化粧材は特に、この規定に掛からないと思いますが、構造材は点溶接を必ず避けましょう。

  とあって、今回一番短い#1ブレースについても有効長(l)を40㎜としています。

○ 溶接部の有効面積
 次に応力を伝えることのできる断面積で、溶接の(有効)のど厚×(有効)長さを溶接部の(有効)面積といいます。
  溶接長(l)説明で参照した図のとおりです。 

溶接部の有効面積とは?
  https://mikao-investor.com/2020/03/15/effective_area_of_weld/

  最終的に必要となる計算は、
  隅肉溶接の耐力=のど厚×有効長さ×溶接部の許容せん断応力度  
  となっています。

次回にこの式を使用します。

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