トラップコイルの設計資料編-3-2(ローディング・コイル挿入位置の違い)

トラップコイルの設計なのに、
なぜ、ローディング・コイルの話なのか?
と思うかたもいらっしゃると思います。
しかし、今回のマルチバンド・アンテナの
トラップ・コイルの実際の設計方法は、
このローディング・コイル資料記事だけを
見て製作しています。
その後、製作したトラップコイルの動作が
正常かどうかを検証するため、
他の資料にあるトラップコイルに関する
裏づけを調査しています。

○ ローディング方式のいくつか紹介

 電波の強さは、アンテナ・エレメントに流れる
高周波電流をエレメント全体に足し合わせた
(すなわち、エレメント上の瞬時電流値を
エレメント線に沿って線積分した)
電流値の大きさに比例します。
 このため、
ローディングを入れる位置によって、
この高周波電流の総合計も違ってきます。
 ローディングコイルを入れる位置が
エレメントの中央の場合をここでは
「センター・ローディング」と呼びます。

※ λ/4のモービルホイップだと
  ベースローディングに相当

 この方式は高周波電流の最も大きい部分に
ローディング・コイルを入れますので、
コイルが持っている直流抵抗によって
高周波電流が熱になるロスを生じますし、
肝心の高周波電流の多い部分にコイルが
入るために、アンテナ・エレメント上の
高周波電流が少なくなってしまいます。

※ 便利な屋外型アンテナ・チューナーだけで
 マルチバンドアンテナ動作しますと
 この方式に該当します。

※ コイルの短縮化効果が大きいため
 小さなコイル(インダクタンスが小)で
 済むのが利点です。

一方、ローディング・コイルを入れる位置が
アンテナ・エレメントの端の場合を
「エンド・ローディング方式」と呼びます。
 この方式は高周波電流が最も大きい
エレメント・中央部分には何も入らないので
この部分でのロスが生じません。

 さらに高周波電流が少ないアンテナ・エレ
メントの先端部分にローディングコイルが
入りますので、高周波電流が大きく流れる
部分がそのまま残りますから、強力な電波を
放射できます。

※ 必ずしも良いことばかりではありません。
 前者のセンター・ローディングに比べて
 コイルが大きく(大きいインダクタンスが
 必要のため)なります。
  また、マルチバンド型では、低い周波数帯の
 調整が大変クリチカルとなり、さらに周波数
 帯域もかなり狭くなってしまいます。

※ メーカー製のマルチバンドアンテナでは、
 アンテナエレメント端からある程度、エレメント
 中央寄りに寄せた位置へコイルを挿入して
 そこから、先端までのエレメント長も
 かなり残しています。

 例 メーカー製3.5/7MHzDPの場合

   (DPの片側で)
   給電点電線 7MHz 約10m
   コイル位置 中央から10mの位置
   先端電線 3.5MHz 約3m
   となっており
   DP全体長は、約26m長となります。

   3.5MHzでの短縮比率をみれば
   26m/40m≒65%
   とフルサイズに比べて、60%以上と
   しています。

   アンテナ効率を考慮しますと
   アンテナの短縮比率を60%以上
   とすることは大事な条件です。

最後に、この新版のワイヤー・アンテナ本
解説では、
「同じ長さの短縮アンテナでも、エンド・
ローディング方式のほうが電波の発射に
有効な高周波電流部分がそのまま残されて
いるので効率がよく、フルサイズのアンテナと
比較しても見劣りすることがありません。」
と結論づけていますが、
それは、理論上の話では正解なのですが
実際は、もっといろいろな条件・制約があって
必ずしもエンド・ローディングが一番良い
短縮コイルの挿入位置ではないことを
このブログでの結論としておきます。

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