第2章・・・ポイチングベクトル・複素電力・・・交流ベクトルへの補足(一般ベクトルとの違い)

 交流理論でのベクトルと一般のベクトル(電磁気学やアンテナ理論でいう
「空間ベクトル」のことで、通常は3次元で表現します。)との
考え方の相違について今回注目してみました。
そして
 一般ベクトル(空間ベクトル)と
複素平面上に表した回転ベクトル(複素ベクトル)との
計算の違いについての説明を交流電力を事例にとり説明します。

(解答)

 一般のベクトルは空間内で(3次元的に)与えられていますが、

交流理論で用いる回転ベクトルは、平面内で計算できるように

複素平面で考えています。

一般ベクトルの乗法(かけ算のこと)には、スカラ積(内積のこと)と

ベクトル積(外積のこと)がありますが、複素平面の場合には

これらのことは考えません。単に複素数の積だけを取り扱います。

 次に平面上に表した二つのベクトルを

a1+a2
           }...(a)
b1+b2

ここで、は、それぞれx,y方向の単位ベクトルとします。


 これが、複素平面では、x方向の単位ベクトルiは省略して、

次のように置いています。

=a1+ja2
          }...(b)
=b1+jb2


まず、式(a)で表すベクトルの計算例を示しますと

(和と差)

±(a1+b1)±(a2+b2) ...(c)

(積)

=(ia1+ja2)(ib1+jb2)

   =a1b1+a2b2

   =ABcosθ (スカラ積)

               ...(d)

×=(a1+a2)×(b1+b2)

   =(a1b2-a2b1)

   =ABsinθ (ベクトル積)

               ...(e)

ここで、はz軸方向の単位ベクトルです。


※(今までの電磁気学でのベクトル計算を

  2次元(平面)で計算しただけなので

  何も難しいところはありません。)


一方、式(b)で表す複素ベクトルの

和と差については、式(c)の=1

と置くことにより、一致しています。

ところが、積については、

AB=(a1+ja2)(b1+jb2)

  =(a1b1-a2b2)+j(a1b2-a2b1) ...(f)

となりますから、式(d)や式(e)の値とは

何も関係していないことがわかります。


ここで、交流電力について考えますと

交流電力は電圧と電流による仕事ですから

電圧を、電流をとして、その相差角をθとしますと

スカラ積ABcosθで得ることができます。

また、無効電力は、ABsinθのベクトル積で

得ることができます。

 そこで、このような結果を得るためには

前回の事前知識編(13)で説明しましたように

またはの共役複素数

*=a1-ja2
          } ...(g)
*=b1-jb2

を用いて計算すれば

たとえば

AB*=(a1+ja2)(b1-jb2)

   =(a1b1+a2b2)+j(a1b2-a2b1)

となって、

実部はスカラ積、

虚部はベクトル積

というようなかたちになるのです。


(無効電力について)

本文中に無効電力の定義をきちんと

述べていませんでした。


第2章・・・ポイチングベクトル・複素電力・・・の事前知識編(11)
 平均電力最終とこれまでの理論へ補足
  http://jo3krp-o.at.webry.info/201310/article_2.html

で表示した波形のような電力となります。

このときは、θ=π/2 (90度)となって

P=EIcosθ=0

ですが、

無効電力は、

Q=EIsinθ=EI 

となって、全部無効電力となっている図形だったのです。

単位は、[W]ではなく、[Var]を用います。

また、単なる EI を皮相電力と呼んでいて

単位は、[VA] ボルトアンペア を用います。

こちらは、馴染みのある単位だと思います。

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